掃き溜め

快楽主義の依存体質が破滅していく道程

えぐにっき(2/5)

酔った勢いで書いた駄文がWordに入ってた。そのままにしておくのももったいないので、笑いのために供養することにする。

誤解を招くかもしれないけど、他意はない。本当にない。

 

ーーーーーー以下本文ーーーーーーーーー

 

「人を愛する」というのはいったいどんな感覚だっただろうか。

 

さいころには好きな女の子がいた気がするし、「魅力的な人」そう感じる人に出会うことだってある。性欲がないというわけではない。体の関係だけならば、男とだって女とだって経験している。しかし、好きな人と交際して、その人だけを選んで、一生を添い遂げたいというのはどんな感情なのだろう。なまじっかな人では煩わしく感じてしまうだろう。もし、そこまで好き合う関係があったしたら、それはかえって不吉だ。それは現実感がなくて、なんだか陳腐で噓っぽくすら感じるものだから。好きという言葉は白い服に泥が跳ねるみたいに、あなたを台無しにしてしまう気がする。私といないあなたこそが美しかったのに……。

一言で表すならば「推せるけど愛せない」そんな風にも言える。好きだと思ったところでそれが一緒にいたい、付き合いたいなどいう欲求とは結び付かないのである。なぜなら私は好きなあなたの好きという言葉すら信じることができない小さな人間だから。

確かに私は齢26にして未だ社会に出られていない社会不適合者であるし、交際してみた経験もない。性的嗜好だって他人とは違う気がする。結婚なんて考える段階に至っていないのかもしれない。

生活が安定して、好きな人ができればそのうち分かると思い、胸の内で埃を被っていたこんな悩みは、周囲のライフ・ステージが進むにつれ、ふと顔を覗かせるようになった。友人の結婚式に呼ばれた時のことだ。華やかな衣装に身を包んだ新郎新婦は幸せそうで、そんな彼らを皆は祝福し、うらやんでいるのを見た。私も彼らの幸福が続くことを願っているし、その思いに偽りはない。

けれど、それを自分に置き換えてみると、どうしてこれが幸せなのかわからない。皆がうらやむ理由がわからない。彼が幸せならば彼にとって正しいことだとは思う。でも席で2人を祝福する私は、例えば恋人に不貞を働かれた人が怒り、傷つき、裏切られたと感じるのか、どうしても理解できずに悩んでいるのである。それは、恋愛経験がなくともわかるような普遍のものであるようだが……。

人は誰と接するかに応じて幾つもの人格を合わせ持っている。私は私といるあなたしか知りえないのに、どうして私のいないところであなたがどんな顔をしているかに憂うる必要があるのだろう。それとも、それすら知りたいと思うことが愛なのだろうか?

愛する人とは、その人の喜怒哀楽を自分のことのように感じられるような関係を持った人。そう私は認識している。ではあなたの幸せが私の幸せならば、私のそばを離れて幸せそうにしているあなたを見てどうして不幸せになろうか。どうしていろんな人を好きになって、一方的な愛を振りまいてはいけないのか。これを不幸というのであれば、その愛の言葉は、鏡の中の自分に掛けているのと変わらなくないか?だって「あなたといる私」というお気に入りの「私」が死んだことに嘆くのだから。ライオンの子殺しのような遺伝子淘汰のメカニズム、それは博愛というイデアすら許してくれないのか。いずれにせよ、種の保存という生き物の性を捨て、同性愛にかまけているうちは分からないか。

 世間一般でいうところの愛と私の認識しているそれの間には、どうしても深い溝がある。この溝を見て見ぬふりして生きていても、時々ぽっかり口を開けて、私を深みに嵌めようとする。ああ「俺も結婚したい」といえる友達が羨ましい。私はついぞ愛を知ることなく死んでいくのだろう。

 

2月5日

 

補足1:居心地の良い、より良い生活のための結婚という視点もあるらしい。

補足2:現状、ぼくは魅力的な人はそこそこいるものの、恋をするほどの活力を有さない状態にある。ずっと昔からそうな気がする。

パチスロで負けた話

ぼくは、直近パチスロで負けまくって有り金をほとんど失った。

今回はその一部始終をお届けしよう。

 

1日目―沖ドキGOLD

AT機。ジャグラーのような感じで光れば当たりというシンプルなゲーム性だが、内部状態による連荘が存在。多くのパチンカスの脳を焼いている。
AT機…アシストタイム機。特定の押し順で押したり、特定の図柄を狙ったりしないと揃わないベルが高確率で成立している台。当たりを引くと押し順をナビしてもらえるため、出玉が増えるという仕組み。

ある日パチ屋をうろついていると、4スルー約450Gの沖ドキGOLDが落ちていた。有利区間は1200Gくらい走っている。この台は2000G以降の当たりで有利区間を再設定する仕様だ。天国に上がるときはこのタイミングで上がってから有利区間を終える。つまり何が言いたいかというと、この台は何も起こらずとも550Gも回せば当たり、天国へ上がって連荘する可能性も高いってことだ。

天井…AT機の多くにある機能。一定ゲーム数ハマると発動し、何らかの恩恵がある。
天国…沖ドキシリーズにおける内部状態のひとつ。これに入ると、32G以内にボーナスに当選する。

ぼくはこのチャンスを逃すまいと思い、打ち始めた。投資14kくらいを経たころだろうか。ハイビスカスが光った。REGだった。

天国へは上がらなかったが、5スルーであり、有利区間も2000Gを越していないから続行した。すぐにBIGを引いて8連、1180枚ほど獲得した。

彼はハイエナが成功したことに大いに喜び、投資分を換金したのち、残りの500枚ほどを貯玉した。―次のハイエナのために……。

 

しかし、この時の彼は知らなかった。この成功体験が後の破滅を招くということに。

 

2日目―アナザーゴッドハーデス

AT機。1/8192のGODフラグでおなじみ。大体犬が出てショボ出玉で終わる。

この日はゾーン狙いと称して、CZ高確の200G、400G付近の台を打ち、CZに入らなかったらヤメという立ち回りをした。50G前位から打ってるので普通にマイナスだと思う。馬鹿な限りだ。この日は運よく2台目でヘルゾーンに突入、このチャンスをものにしてGOD GAME獲得。ペルセポネは100Gしかくれなかったが、それでも400枚くらい出てちょっとプラスで終了。

CZ…チャンスゾーンの略。これを成功させると、出る区間に突入する。

3日目―新ハナビ

ノーマル+RT機。ボーナスで出玉を増やす台。当たると変な出目が出て当たったことが分かる。このパチンカスのお気に入りの台のようだ。

この日は神戸にいた。就職活動のためだ。新幹線で東京から神戸に向かったことで、企業から交通費を3万ほど貰った。「美味しいものでも食べてきてください」企業の事務員さんはそう言っていたのに、このクズはあろうことかパチンコ店に向かった。

好きな新ハナビに座り、打ち始める。全く当たらなかった。当たっても出玉が繋がらない。遅れが全く刺さらない。

遅れとは…パチスロにありがちなリール始動と始動音がずれる演出。ハナビならチェリーを狙って入賞しなければ大当たり。熱い。

ついでにこいつは目押しが下手くそだ。リプレイ外しは最近できるようになってきたけど、REGの2コマ目押しも怪しい。つまりは期待値マイナスだ。幸い、三宮エリアは等価地域らしいのだが……。

等価…等価交換のこと。1000円50枚でメダルを借りたら、50枚1000円で交換できる。

気が付いたら設定1でも1/156で当たる台で大当たり確率1/300のスランプグラフをこさえていた。-20k。貰った交通費を彼はほとんどハナビにぶち込んだのだ!

これは経験則に基づいたオカルトだが、借りた金、使ってはいけない金、打つべきでない時に打つギャンブルは大抵、負ける。案外お天道様は見ているのだ。

こういう結果にしてもらえていることが幸運な気もしないでもないが。

 

4日目―沖ドキGOLD

神戸から帰り夕方まで眠った末、彼はパチンコ屋へ向かっていた。貯玉でパチスロを打つためだ。彼の目に留まったのは540Gの沖ドキGOLD。持ちメダルならギリプラスか?

この台はこの日初当たりを取れておらず、最終54G終了の台。リセットがかかっていないなら54G早く天井に行くし、きっちり1000G目で当たるならリセットがかかっている。

942G、BIG……。どっちだよ。

2台目。4スルー天国間1000Gほどの台を発見し、打ち始める。初当たりが軽いけど、一向に天国へ行かない困った奴だった。

暫く打つとREGを引いた。天国へは上がらなかった。

5スルーはゼンツと聞いていたので、ゼンツした。途中でBIGを引いたが天国へは上がらなかった。この辺で天国間2000Gを突破。次は天国次は天国と心を無にしてハイビスカスと対峙する。REGを引いたが天国に上がらず、絶望した。

 

―彼は1つ大きな間違いをしている。

確かにこの台は有利区間2000G以後の当たりで、有利区間を再設定するし、このタイミングで天国に上がることもある。しかし、それは通常Bだった時の話。

「有利区間2000G経過後の大当たりで、内部状態が通常Bであったときに限り、天国にあがる」

通常B…天国に上がりやすいちょっとしたチャンスモード。GOLDの場合、天国に上がるまでは通常Bに落ちることは無い。パチンカスは通常Bが確定すると天国までぶん回すぞ。

つまり、通常Aの時はただ有利区間を切って終わりなのだ。彼はそれに気づかず、ずるずると台に金を突っ込み続けた。17000円と貯メダル500枚を使った彼の心は折れ、1500円ほどの回収でとぼとぼと帰宅。

5回目の当たりの時、スロー点滅してた気がするが、そんなのは知らない。「示唆」だからどうせ通常Aだと思った。

彼は交通費だけでなく、口座の預金もほどんど全て使い、破滅した。

通常A…通常モード。激寒。沖ドキの立ち回りは如何に通常Aを打たないかに集約される。

パチスロは普通に打ったら負ける。勝てる区間もあるけど、仕様を良く知らずに突っ込むと痛い目を見る。それを忘れてはいけない。

希望的観測をし始めたら終わりなのだ。

HHCハーブを吸ってみた

合法的にキマるという物質を手に入れたのでこの度使用してみた。これは2022年2月現在規制されていないというだけであって、今後規制される可能性はあるという点はご承知おきいただきたい。

 

追記: 22年3月7日、HHCが(やっぱり)規制薬物に指定された。これでHHCは正真正銘の危険ドラッグだ。くれぐれもやって捕まることのないように。記事リンクを参照されたし。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/6b7766abc2f867171bbc18d7add4f89c833aba6f

f:id:PaedoS:20220223012832j:plain

このいかにもな見た目のハーブにはHHCとCBDが合わせて20%程度配合されているという。お値段はなんと1g3000円。とても高価な代物だ。
HHCというのは、所謂合成カンナビノイドで、大麻に含まれる希少成分をCBDから合成して作る。ハイになることはないものの、陶酔感や食欲増進効果を得られるという。これを煙管に入れて吸ってみる。

 

うーん……タバコのようなキック感はなくて吸いやすいけど青臭くてあまりおいしいとは言えない。副流煙はかつてデンマーククリスチャニアで嗅いだ大麻の燃える臭いに近い気がする。火持ちは最悪で、ひと吸いするたびに火を着け直さなければならない。

 

喫煙して数分後、頭が熱くなってくる。深呼吸すると全身に快感が染み渡るのを感じる。酒の酔いとは明らかに違い、近いのはランナーズハイの際に感じる快感であろうか。普段感じる胸部への引っ掛かりも感じない。明らかにリラックスしている。

 

さらにしばらくすると、全身に快感のさざ波が押し寄せてくる。せっかくなので、音楽を聴いてみる。音楽の聞こえ方が変わるかどうか確かめるのはなにかキメた時の定番だろう。

 結論からすると、聞こえ方がかなり変わった。まず、低音部が強化される。具体的に言うと「太陽キッス」のドラムのズン、ズン……っていうのがすごくよく聞こえる。

音の解像度もかなり上がるようで、「going my way」であれば、Bメロのピアノの音やサビのヴァイオリンの音が良く聞こえるようになる。

 低音が強化されるので、聞いてて面白いのはトランスやヘヴィメタルだろうか。

 

 昼食もあったので、食べる。感動するほど美味しくなる、という訳ではなかったが、いくらでも食えるなという感じはする。食べたばかりなのに、昼食に加えカップ麺まで食べてフィニッシュ。例えばブロンなら喉に引っかかる感じがして食欲はむしろなくなってしまうので、これは新感覚だ。

 

2時間くらい経てばトリップは終わる。結論、これ合法でいいの?かなりブリブリキマるけど……。抜けた時のキツさもあまりない。でも、グラム3000円は流石に高価すぎるし、効果時間もあまり長くないので、リピートは今のところ考えていない。あと1、2回分残っているので、辛いときに使おうと思う。「あおぞらサイダー」はキメて聴くとやはーってなっていいぞ。

劇場版 少女 歌劇 レヴュースタァライトは何を伝えたかったのか

クズ要素ばかり扱ってきたこのブログだが、表題の通りレヴュースタァライトの劇場版を観てきたので考えたことをアウトプットしていきたいと思う。

 この映画、上映から一か月あまり観てなかったのだろうかというくらい面白かった。

シュールで、でもクールな映像、レヴューはどれもアツくて差し迫ってくる。オマージュにクスっとする部分もあれば、劇場で見ることによって観客をしびれさせるような演出もあり、話の筋書きが難解だと感じたとしても映像美やレヴューだけでもこの映画は楽しむに値するものであると思う。

 少女同士の関係性だとか小ネタだとかはきっともっと詳しい人がいると思うので、この記事では物語の構造やそこから伝わることについて考えていきたい。

(映画のネタバレを大いに含むので、未視聴ならばブラウザバックしてほしい。そもそもこのコンテンツに触れたことがないのであれば、ぜひともアニメ版から見てほしい。また、人の考えも特に取り入れていないヒトリヨガリな考察なので悪しからず)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタァライトの構造

 この物語に盛り込まれた最大の仕掛けは何といってもこの作品そのものが「愛城華恋と神楽ひかりの出会いと再会の物語」という「舞台」だったというオチにある。舞台少女たちはそれに気づき、次の舞台へ進むため「レヴュースタァライト」という舞台に幕を下ろそうというのが劇場版の流れである。

 (この構造自体はアニメ版にも示唆があり、第七話の「再演」がどうしてスタァライトという演劇ではなく、1年生の学校生活であったのかを考えてみてほしい。)

 劇中に出てくるトマトによって「舞台少女の生活」から「今現在も舞台を演じている役者」へと認知が転換し物語が展開していく。そういう意味ではトマトが連想させるものは血というよりは映画「マトリックス」の赤い薬(※)である。

※「マトリックス」の主人公は差し出された赤い薬を飲んだことによって今の生活が機械に見せられている夢だということに気づいた。

 

〇この話の疑問点

 しかし、この筋書きには一つ問題点がある。それはアニメ内での舞台少女の体験は脚本通りに演じられていただけなのではないか。それはアニメの内容を否定してはいないかという点である。 

 この顛末にするということはアニメの中で繰り広げられた葛藤も諍いも決断もすべて脚本通りの予定調和ですとネタバラシすることであり、明らかに人物への感情移入を損なうものであるし、意図せず行われていないのであれば実に興ざめな仕掛けであるともいえる。

 

〇この展開に対する考察

 この展開を見て連想されたのは「ジョジョの奇妙な冒険」の第5部のエピローグに挿入される「眠れる奴隷」の話である。

 簡単にあらすじを言うと、第5部の物語が始まる前、「近い将来、死にゆく人間を安楽死させる」スタンドを持った男と出会ったブチャラティは自分が死の運命にあることを知るが、彼は安楽死を選ばなかったという話である。(そして、劇中で彼は予言通りに命を落とす)

 この物語は、今までの道程がすべて運命であったという話を最後に繰り広げ、「じゃあ今までの戦いはなんだったんだよ?」と考えさせるものである。

 

 話を戻そう。スタァライトについて話のすべてが「レヴュースタァライト」という舞台であるとしたとき、この物語は「運命論」というテーマに収斂されはしないだろうか。舞台少女たちはその自覚もなしに舞台に立たされて、演じている。物語はすべて脚本通りに進められて、その意志とは関係ない。自分が考え行動したと思っていたことでさえ予定調和である。

 これは何も舞台少女だけに言えることではなく、私たちもまた「無自覚に運命という舞台を演じる役者」である。私たちは、舞台少女たちは運命という題目を演じているだけの役者に過ぎないのだろうか。

 

 この物語の結論は「役者は舞台が終われば次の役を演じられる」というものであり、それは運命論という無気力で暗い部屋に一筋の光を照らすものである。実際に劇場版では物語に幕を下ろしたことで、最初に言っていた進路と異なる選択をした舞台少女が一部描かれている。(それから新しい役を見つけようとする華恋の姿も)

 この結末はただ「人生は運命という脚本に支配されているものである」というだけではなく、自分の意志で「新たな運命を選び取ることもできる」としているのである。このことから、映画に込められたメッセージを私は「人生は運命という脚本によって決められ、無自覚に演じられるものだけれども、自分が運命の役者だということに気づいたならば、どの脚本を演じるかは自分次第なのである。」というものであると読み取った。

 運命は一本道ではなく、枝分かれしていくものである。一つの運命が終わったとしても広く視野を持てば新たな運命を切り開けるのだという世界観の表現のために劇場版はこのような内容になったのではないだろうか。

 このように考えるとこの運命論はとても前向きで明るいキラメキに満ちたものであるように思えた。

 

いろいろ連ねてきたがよくわからない部分もあったし、そもそも映像、音響、演技と一度じゃ堪能しきれない部分もたくさんあるのでもう一度見たいなと思わされた。そもそも何日も頭を悩ませる作品には長らく出会えなかった。それだけで脱帽モノである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パイプを始めてみよう

 ぼくがお勧めしたくてしょうがないけど、きっと誰も始めてくれなそうな趣味第1位が「パイプ喫煙」である。難しそう、初期費用がかさむなどという理由でビギナーを拒み続けるパイプであるが、これはこれでいいところがたくさんあるのでこのブログで紹介してみようと思う。

 パイプのいいところ悪いところを紹介した後で実際に始めるために必要なものとか予算とか、初めての銘柄とかを考えてみたいと思う。

 

パイプのいいところ悪いところ

〇美味しい

 きわめて主観的な考えではあるが、パイプたばこの喫味は紙巻きよりずっといいものである。これは紙が燃える味がしないだとか、紙巻煙草に比べて煙が冷えるからだとかいろいろ理由を付けることはできるが、吸ってみないとわからないと思う。特にラタキアというオリエント葉を燻したたばこを使ったブレンドはパイプでしか味わうことができないものである。葉は正露丸と例えられる臭いがしてこんなの吸って美味いんかと思うのであるが、吸ってみるとコクと甘みのバランスが秀でたうっとりするような風味がする。ラタキアはパイプで吸うと美味しいのに手巻きで吸っても悪いところばかり目立って不味いので不思議なものである。もしもぼくに会う機会があってパイプを体験したいのなら貸すので吸ってみてほしい。

 

〇喫煙中両手が使えて灰を落とす必要がない

 これも地味にメリットである。パイプは銜えていられるのでアクションをあまり求められないゲーム(FPSはできないけどRPGならできる)だとかお絵かきだとかキーボード操作だとかをしながら楽しめる。灰を落とさなくてもいいのがながら作業には最適。雀荘で煙草をふかしながら麻雀をするおじさんはよくいるが、そういう人がパイプを使えば火を付けたり灰を落としたり吸い殻を捨てたりする手間が省けて数半荘吸い続けながら打てる……のであるが実際は滅多に見ないし雀荘でパイプを銜えるとすごい珍しがられる。

 

 

△喫煙時間が長い

 これはメリットでもあるしデメリットでもある。自宅での余暇時間や作業中ならいいが、立ったままの喫煙所で数分で吸えるものではない。外で吸えるのは遊技中の喫煙が黙認されている雀荘か葉巻を出してるバーやカフェくらいなものである。

 一方で紙巻きたばこが0.7g~1gを3分から長くても10分あまりで吸うのに対して、パイプは3gを45分~1時間、長い人だと2時間くらいかけて吸うということを考えるとたばこの量に対して楽しめる時間がすごく長いからお得と考えることができる。パイプが合うかどうかはその人のライフスタイルに最も依存するだろう。

 

コスパは結構いい

上記から、一杯吸うのに紙巻きたばこよりもずっと時間をかけるので時間当たりのコスパはかなりいいといえる。葉そのものは手巻き用の刻みたばこよりも高いが。

 

△吸うのに道具が必要で手入れしなければならない

 当然ながらパイプを吸うにはパイプが要るので火と煙草さえあれば吸える紙巻きたばこにはその手軽さで劣る。一方で、近年は加熱式煙草を吸う人も増えたので、道具が必要で手入れがいるという差はやや縮まっているともいえる。

 道具には愛着が湧くもので、パイプも使っているうちに愛着が湧き手入れも楽しくなるかもしれないのでこれもデメリットとは言い切れない。

 

×初期投資が高い

パイプははっきり言って結構高い。ここが初心者を阻んでいるといっても過言ではないし、パイプは吸うたばこのジャンルに合わせて数本は欲しくなるのでそれも加味するとそこそこの金額をパイプにつぎ込むことになる。

 

×それでもやっぱり難しい

パイプの喫煙方法は葉の詰め方とか、吸うだけじゃなくて吹かなきゃいけないとか、ちょっとした技術があり、それに慣れるまではろくに吸うことができないし、焦って火を保とうすれば舌をやけどしたり、ひどいとパイプを焦がしてしまったりする。ぼく自身喫煙できるようになるまでに数日は要した。今でも熟練のパイプスモーカーに比べて完璧かと言われればわからない。逆にそこさえ乗り越えられれば……って感じ

 

パイプを始めてみよう

 

ここまでパイプのメリットデメリットを語ってきたが、実際パイプを始めたいとなったとき、何が必要でいくらくらいして、初めての銘柄は何にすればいいのかを見てみよう。

 

必要なもの

・パイプ

・パイプたばこ

・コンパニオン

・掃除用のモール

 

あると便利なもの

・パイプレスト

・マッチあるいはパイプ用ライター

・リーマー

 

上から順番に見ていこう

 

パイプ

これがなければ始まらない。材質はエイジュというツツジの仲間の根を使ったブライヤー、トウモトコシの芯で作ったコーンパイプ、セピオライトという粘土鉱物を使って作ったメシャムなどがある。

値段は概ね

メシャム>ブライヤー>コーン

 最初はブライヤーのものを買っておけば間違いない。コーンパイプは1000円ちょっとで手に入るが、他の素材の物が(うまく使えば)一生モノの代物であるのに対してこれは消耗品である。最初はブライヤーを買って、焦がすのが心配ならコーンパイプを買って練習するのがいいだろう。ブライヤーパイプはアンティークやパイプ作家が作った一点ものなど金を出そうとすればキリがないが、最初は6000円~20000円くらいを見込んでおこう。ぼくのパイプは10000円から16000円くらいのものである。1回風俗に行くのを我慢すれば一生楽しめる趣味に出会えるかもしれないのだ。さぁやろう。

 巷ではパイプ入門セットと称して4000円くらいで必要なものが一通り揃うセットが売られていたりする。しかし、自身が買ったことがないのでお勧めのしようがない。メーカーは柘製作所という国産パイプの有名メーカーのものなのでそこまで酷いものをつかまされることはないと思うのだが……煙道の空き方が不適切なものを掴まされると最後まで吸いきれないなどストレスも多いから最低限の品質を考えて少しいいモノを買ってもいいかもしれない。

 また、パイプにはいろいろな形(シェイプ)のものがあり出ている木目も個体差があるが、これは好きなものを買って構わない。いいなと思った木目や加工の物を買えばいいし、いいなと思ったシェイプのものを買えばいい。強いて言うなら、吸い口がまっすぐ伸びているビリヤード等のシェイプのほうが掃除のときにストレスがなく、曲がっているベントタイプのほうが銜えるのが楽とか、小さな一長一短があるが好きなものを買うことが最優先である。

 メーカーはいくつもあるが、先ほど出てきた柘製作所とかフカシロとかが日本のメーカーでは有名どころで、海外の物ではフランスのブッショカン(BC)やデンマークのスタンウェル、アイルランドにあるピーターソンなどがある。

通販であればkagayaなどの喫煙具の通販サイトで、都内であれば銀座の菊水や五反田の野村たばこなどへ行ってみるといい。

 

パイプたばこ

 

これもなければ始まらない。価格は50gで1300円から2500円くらいする。基本的に缶に入ってると高くてパウチに入っていると安い。

ブレンドの違いとして

・ラタキア入りのイギリスタイプ

・着香されていないタイプ

・着香されているタイプ

が大きく分けると存在する。ほかにも葉組の違いなどがあるが、割愛する。もしもたばこ屋でパイプたばこを物色している際にラタキアという文字が出てきたら最初のうちは避けておくのが無難だ。パイプに慣れてからラタキアを試してみて好きか嫌いか判断してほしい。これは好みが大きく分かれるところだ。

 

また、カット方法もいくつかあるが、最初はリベーシックなボンカットのものがいいだろう。フレイクという板状の煙草が入ったものもあるが、リボンカットの詰め方に慣れてからでも遅くない。

 これらを含めて一番最初に何を買うか、狭い見識から挙げてみる。特に記載がない場合、50g入っている。価格は2021年7月現在である点を了承いただきたい。

 

・ダンタバコ「ブルーノート」2300円

バニラとトロピカルフルーツの香りの定番銘柄。バナナみたいな印象を抱く。これが上手に吸えた時、え?たばこってこんなに美味いんか!?ってなる

 

・マックバレン「ヴァージニアNo.1」1420円

バージニア+ちょっとバーレーの非着香。アメスピとかゴールデンバージニアが好きならこれ。火も付きやすいし、紙巻と比べてどう変わるのか比較しやすい。

 

JTアイメックス「桃山」40gで1170円

フルーツラムの香り。着香が強くなく、たばこ本来の味もわかりやすいので、これを吸って着香と非着香どちらが好みかはっきりさせるのもよい。失敗しても40gなのでダメージが少ないのも〇

 

番外編「慣れたら試してほしい銘柄」

・ラットレー「マーリンフレイク」2450円

バージニア+ブラックキャベンディッシュ+ペリック。独特の塩気とコクのある甘さが魅力的だが、壊滅的に火が付きにくいのが玉に瑕。ながらパイプには向いていない

 

・ピーターソン「スタンダードミクスチャー」2450円

ラタキアが入っている。最近吸ってみてすごくおいしかったので紹介。ラタキアはそこまで強くないが、独特の甘みとコク、オリエントの出汁感を味わえ、これが好きならラタキアものも行ける!という銘柄。これが好きなら同社の「マイミクスチャー965」や「ナイトキャップ」もおすすめ

 

その他の道具

・コンパニオン

1000円前後。安ければ500円くらい。吸い終わった後、パイプの灰を搔き出したり詰めた葉っぱがが熱で膨張し、盛り上がってきたときに葉を上から押さえ込んだりするのに使う。これも必須級

・モール

パイプの煙道を掃除するのに使う。50本くらい入って数百円。けちるなら100均の手芸用モールでもいい。

・パイプレスト

パイプは大体自立しないのでこれがあるとトイレに行きたい時など喫煙を中断する際、パイプを安定して置くことができる。1000円前後。

・マッチやライター

火が付けばなんでもいいのだが(ぼくは100円ライターを使うことが多い。)こだわるならマッチやパイプ用ライター(横から火が出る)のほうが火がつけやすい。パイプ用のライターには簡単なコンパニオンがついていることがあり、外出先では便利だ。

・リーマー

パイプは使用を続けるとカーボンと言ってパイプの内側にヤニがたまっていく。少しついている分にはむしろパイプが焦げにくくなるのでいいのだが、つきすぎるとパイプに詰められる内容量が減ってしまうので削ってやる必要がある。リーマーはそのための道具である。コンパニオンで削ってしまっても構わないが、これを使うと均一に削れる。ぼくは持ってない。

 

とまあこんなものだろう。気が向いたら細かい吸い方など解説してもいいが、結局体で覚えるしかない。興味があったら是非始めてみてほしい。パイプ党が一人でも増えたならうれしい。

 

タバコ遍歴(その1)

さて、この掃き溜めブログの第二回まで、性遍歴を綴った訳だがネタが切れてしまった。依存体質なブログと銘打ってるのでタバコについてでも紹介しよう。

 まず、ぼくは喫煙者だ。タバコの値段は高騰し、健康にも悪い代物を今どき始めようなんて言う偏屈はあまりいないだろう。確かにタバコ、高いし身体に悪いけれども、実はいろんな楽しみ方があり試してみると結構楽しいものである。(しかも紙巻たばこより大抵はうまい!)

タバコがぼくを引き付けるのは何もニコチンばかりではない。嗜好品の中でも特に「無駄」なのがとても愛おしいのである。酒にしても菓子類にしてもカロリーがあり、多少は人間の生命維持に寄与してしまうが、タバコは違う。カロリーがないから生命の維持に何ら影響をもたらさない。

「人間の数少ない長所の一つは無駄なものを愛せることである」

というぼくの価値観にピッタリはまる。無駄ゆえに最も人間らしい嗜好品であると思う。しかしながら、紙巻たばこ(あるいは電子タバコか)ばかりが蔓延る現代の喫煙事情はあまり頂けない。タバコをニコチン摂取の目的でのみ吸い、いつも同じ銘柄ばかり吸い続けていては折角の無駄を愉しみきれていないように思える。そのような喫煙は喫煙者が薬物中毒と揶揄されても仕方のないものである。

 手間をかけて金も時間もかけて味覚を研ぎ澄まし無駄を目一杯楽しむ、そういう「嗜好品」と呼ぶに相応しい喫煙を啓発するために今回はいろいろな喫煙方法を紹介しよう。後述するが、葉巻などは非喫煙者でも時々楽しむに足るものであると思う。

 

点数は五点満点で採点。喫煙方法の傾向を示す

★紙巻きたばこ

依存性(5/5)

趣味性(1.5/5)

味(2/5)

コスパ(2/5)

 

今や主流ともいえる紙巻きたばこ。コンビニか何かで購入し、フィルターの部分を銜えてライターで息を吸いながら炙ると吸うことができる。肺に入れて吸う人が多い。これはニコチン摂取の意味が非常に強く大した味がしないので、最初吸ったときはわけがわからないのではないだろうか。メンソールは割としっかり清涼感がある。凝る部分もせいぜいが喫煙具くらいだ。リトルシガーにすることで税制をかいくぐり安くなっているタバコもあるとはいえ、コスパは後述する手巻き、キセル、パイプ等には及ばない。

 

説明不要だろうから、これくらいにしておこう。

〇好きな銘柄

ピース(20) バニラ感が強くて結構好き。フィルター付きならこれがいいかな

ピース(10) 上のフィルター付きのピースよりタバコ感が強い。両切りタバコ

 

★手巻きたばこ

依存性(4.5/5)

趣味性(2.5/5)

味(3.5/5)

コスパ(4/5)

 

上のような紙巻きたばこを紙と刻みたばこと(使うなら)フィルターを用いて自作するスタイル。ニコチン摂取の意味合いが強いが、大体の場合喫味は強めで味がはっきりしている。ぼくはフィルターは使わない。味を落としてまで健康を取りたくないし、実は健康への害はタール値を落としたからと言って大して変わらないからだ。フィルターを使わずに巻いてふかしていたほうがよっぽど嗜好品らしいし健康的な付き合い方だと思う。フィルター、紙、刻みたばこのブレンドなどのカスタマイズ性が高く、「巻く」という面倒な過程が含まれるので趣味性は紙巻きたばこより高い。紙巻きたばこがコンビニで買った缶コーヒーだとしたら、手巻きたばこは家で淹れたコーヒーくらいのポジションだ。コスパはまぁまぁ高い。吸うのが面倒くさくなるし、紙巻よりも燃え進むのが遅いために喫煙時間が長くなる。それに巻き方にもよるが2箱分のたばこ銭で40本以上は巻けるはずだ。

 

〇好きな銘柄

ゴールデンバージニア… 熟成の深いバージニアとちょっとバーレーというブレンド。コクや酸味、甘みが感じられる安くておいしい定番の銘柄だ

 

ハイタバコダークファイア・・・黒たばこである。よく鰹節と例えられる香りとコクは一度試してほしい。

 

アークロイヤルパラダイスティー…紅茶風の着香がされており、気分転換に良い。

 

キセル

依存性(2.5/5)

趣味性(3/5)

味(3.5/5)

コスパ(5/5)

 

昔ながらの喫煙法。雀荘キセルをカーンと打ち付けながらリーチしてみたい。激熱にっぽいし、パチンカスが多いから伝わりそうだ。キセルにタバコを詰めて吸う。それ専用の刻みたばこもあるが、火皿の大き目なキセルを買って、手巻きたばこを詰めて吸うのがおすすめ。タバコに無駄が出ないので、手巻きたばこよりもコスパが良い。巻く面倒がない代わりにやや喫煙技術が求められ、掃除をしなくてはならないが、電子タバコが普及した昨今では掃除の面倒はそこまで苦でないかもしれない。吸うものは手巻きとあまり変わらない。ふかしで吸うことが多いために依存性は控えめ

 手巻きや紙巻にないのはやはり、使い続ける道具があることで、道具に拘れるという点では上記の二種よりも趣味性は高いといえる。なにより愛着が湧くのである。

 

〇ぼくのキセル

黒船煙管…3000円くらい。火皿が大きく、手巻きたばこを吸うのにも使える。分解もできてお掃除も楽だ。真鍮製で使い込むごとに味が出てくるのが愛おしい。

 

柘製作所(tsuge) 黒船煙管 #50915

柘製作所(tsuge) 黒船煙管 #50915

  • メディア: スポーツ用品
 

 

〇好きな銘柄(基本は手巻きと同じだ)

小粋・・・JTが生産している唯一のキセル専用たばこ。セブンスターに使われてる達磨葉も含んだ在来種のブレンド。複雑な風味に驚くだろう。美味しい。

 

★葉巻たばこ

依存性(2/5)

趣味性(2.5~4/5)

味(5/5)

コスパ(1/5)

 

断っておくと、ここでの葉巻はプレミアムシガーを指す。手で巻かれ、湿度管理を行う必要があり、シガーカッターでふさがれてる部分をちょん切って吸うやつだ。

基本はふかして吸う。所作などはあるが、基本はカットして火を付ければ吸える。

すべてのタバコの頂点に立つくらいに美味しい。そして高い。保管が面倒くさいので、箱買いして、家で保管するとなると、その趣味性は増加する。試してみたければ葉巻を提供しているバーに行って頼むのが一番楽で間違いがない。

 タバコをやめられても葉巻はやめられないだろう。それくらい葉巻は絶品で酒類にもよく合うし、吸いきるのに一時間くらいかかるためにゆったりとした時間を愉しむことができる。同じ銘柄でも個体差があり、体験は毎回微妙に異なる。味覚を研ぎ澄ませてゆったりと味や香りを楽しむ「嗜好品」としてのタバコの原理主義的な位置づけにある。

 

非常に高価(1本1800円~)なので、ぜいたく品として自分へのご褒美だとかバーに行った時だけ吸うだとかという付き合い方がかえってできるため依存性は低く、非喫煙者の愛好家もいるのだとかいないのだとか。これを欲張って箱買いするなどという暴挙に出れば、諭吉が何人いても足りないと思おう。

 

〇好きな銘柄(味は諸説あるので信じ切らないように)

ロメオイフリエタ ベリコソス…葉巻の国、キューバの一本。ウッディでフルーティーな感じでざっくりいうと甘い。ぼくの墓の前にはこれを備えてほしい。

 

ホヨードモントレー エピキュアNo.1... これもキューバ産。上のロメオがフルーティーだとすると、砂糖あるいはカラメルに近いような甘さで土っぽさを感じる葉巻。ホヨードモントレーは味わいが繊細めで非喫煙者に好まれそうな感じがするし、地元のバーでもホヨーが推されてた

 

ほかにもパイプも好きだが、またの機会にしよう……結論から言うと、葉巻は一度は吸ってみな。トぶぜ?ということでした。ほなまた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッテン場に行ってきたよ

 ぼくがソープで童貞捨てて一年余り、周りがドン引き必至のー罪ーを犯すことになってしまった。それはすなわち処女の喪失。行きずりの男に抱かれた経験である。今回はそんな一部始終をお届けしたいと思う。

 

ぼくの心の中にはいつも虚無感が太陽を覆う雨雲のようにあることを自覚していた。どれだけ愛しても報われず、愛されることはないだろうという諦観、どれだけ努力しても上には上がいて、最後には死という形で無に帰すであろうというやるせなさ。

 もしも、少しでもありのままの自分が愛されたのならば……そんな心の中に存在し、いつまでも飼いならせない虚しさが和らぐのではないか?そう思ううちにいつしか男性に抱かれ、愛を一心に受けることを夢見るようになっていた。

 

 こんな思いから、足がいつの間にかハッテン場という男たちが愛を育む場に向いていた。

 おそらく読者の大半はハッテン場と聞くと夜の公園、夜の銭湯あるいは「くそみそテクニック」よろしく公衆便所などを想像するかもしれない。しかしながら、世の中には有料発展場と呼ばれる男性同士のハッテンを目的とした場所を提供する施設が存在する。ぼくが赴いたのはその有料発展場である。想像される発展場よりもずっと清潔で、シャワールームや出会いの場、デキた二人が愛を育むための個室などがあり、個室にはローションやコンドームが備え付けられている。施設使用料さえ払えばローションやコンドーム、シャワーを浴びる際のタオルなどを自由に使うことができる。

 駅から歩いて数分、雑居ビルの上のほうに入っている発展場に足を踏み入れる。すると、入ってすぐのところに料金を支払うための受付がある。風俗に行ったことがある読者であれば、ピンクサロンの受付のようだといえば伝わるだろうか。完全先払いという点でも店舗型の風俗店に通じるものがある。受付の左側には「手隠し」と書かれたポップが掲げられている。これはドレスコードであり、「施設内では全裸で股間を手で隠して行動してくださいね」という意味である。料金は1000円前後で、時間や年齢、体を鍛えているかなどに応じて様々な割引を受けることができる。風俗店に比べると破格の安さであるが、風俗と決定的に違うところは自分で相手を見つけなくてはならないという点であり、店はあくまでヤリモクのゲイにナンパする場所を提供しているに過ぎない。したがって、相手が見つかるかどうかは運、それと自分のアピール次第である。

 

 料金を支払ってロッカーに荷物と衣服をしまい、シャワーに向かう。眼鏡は外したほうがキマるかなと思い外した。人の利用客とすれ違ったが、この時点では温泉かなにかとあまり変わらない。違うとすれば、年ごろが同じくらいあるいは少し年上くらいの男性ばかりという点である。シャワーを浴び、周りが向かう場所に行ってみる。中は暗くてEDMがズンズンと掛かっている。周りが気にならないような配慮もまるでピンサロである。中は入り組んでいて、迷いそうになるが、その一角にマットレスが敷かれ、男たちが数人寝転がっている区画があったので、そこに寝転がってどのようにカップルができていくのかを見てみることにした。

 ぼくはこういうところはもちろん初めてで、客層も(男に興味がある男が集まっているという点以外は)わからないし、浮いてしまうのではないかという不安もあったが、身長が170cmくらい、体重が65キロちょっとという普通体型でもあまり浮いている感じはしなかった。身体を鍛えている人もそこそこいて、ぼくは貧相な方に見えた。

 今日この日のためにすね毛やアンダーヘア、尻の毛を剃ったり、やたら丁寧にひげを剃ったりした。異性に目を付けてもらうためにする努力なんてももう何年もしていないのに、男に目を向けてもらうために身だしなみにやきもきしているのがすごく滑稽だった。

 

そんなことを思い返すうちにしばらく事の成り行きを見ていると、寝転がってる男を物色してくる人がいるのに気づいた。お眼鏡にかなう相手がいたら馬乗りになって顔を近づけたり、ボディタッチしたりして、相手にその気があれば、キスし始めたり、身体や局部を触りあいし始めたりして、最終的には個室に連れ込んでいく。そんな男同士の情事を近くで見ていると、自ずとドキドキしてくる…

 すると、左隣で寝転がっていた男性と目が合った。顔は暗くてよく見えないけど、熱っぽい目線が伝わってくる。身体を鍛えてる感じではなかったけど、体格は僕よりも大きくて、相手としてはイイかも…!と思った。

 ここで一つ豆知識であるが、ゲイの盛り場ではロッカーキーを付ける位置によって自分がネコかタチかリバかを伝える風習があったりする。ぼくは抱かれるつもりで行ってるので、左手(ネコ)にロッカーキーを付けていた。そして相手は…右手(タチ)。来た・・・

 ポジションもマッチしているから、相手の手を握ってみた。すると、相手は顔を近づけてきて、キスが始まる。いきなり舌を絡めた情熱的なキス。キスをしながら局部を愛撫しあう。相手の股間はすでに我慢汁で濡れていて、すごい!(語彙不足)カリも張っていて挿入すると前立腺を刺激して気持ちよさそうだ。ひとしきり触りあうと個室に行こうよと誘われたので「いいよ」と返し、二人で個室に入った。

 個室に入ってからは腕や脚を絡めあって箍が外れたかのように何度も舌を絡めたキスを交わしたり、愛撫しあったりした。ぼくもその気になって、欲しくなってきちゃったのでお尻も…と囁いて菊門をほぐすように促す。すると相手はローションを手になじませると、アナルに指を入れてきた。久しぶりの感覚。「痛くない?」と聞かれたけど、大丈夫だよと返し、愛撫を受ける。ちんちんは触ってないのに射精感が昇ってくる。相手にする返事がいじらしい感じがするなと自分で思った。まるで、彼氏と話してる妹の声みたいなメスっぽい感じ。

 そろそろかなと思い相手のペニスにゴムを付ける。焦って一度逆につけてしまった。気を取り直して、口も使いながらゴムを付けてあげて、ぼくが上になって挿入した。少しぼくの股間から汁が垂れてくるのを感じた。気持ちいい!でも、運動不足のぼくには騎乗位は疲れる。少ししたら、正常位になって相手に動いてもらった。深く挿入されると苦しくてあまり上手とは言えなかったが、それでもエロいねとか気持ちいいよとか言われるのは少しうれしかった。「イっていい?」という相手に「うん」と答えると抽送が速くなって、必死に腰を振り出した。結構苦しくて、相手を思う余裕もなかったけど、相手にだいしゅきホールドしてみる。エロ漫画の女の子になり切っている感じはそれはそれで結構面白い。しばらくすると相手は喘ぎながらぼくの中で果ててしまった。射精しているのがお尻の中でわかると面白いのだけど、よくわからなかった。

 それから相手といちゃいちゃしながら少し休み、恋人繋ぎしながら抱き合う。相手に身体を預けながら背中を子守をする母親のようにとんとんとすると少しだけぼくの中にある母性のようなものが刺激されるのが分かった。二回目を促すようにぼくは相手のペニスを口で含む。初めてのフェラチオだ。シャワーを浴びて小ぎれいにしているのであまりひどい味はしない。ピンサロでクンニはしたことあるけど、それと大差ない。裏筋にキスをしたり、亀頭を口で吸いながら根元を手で刺激したりする。上手いねと言われるのがうれしい。

 二回目はバックでしようと思ったけど、相手がヘタってしまったし、自分も疲れてしまった。しばらくイチャイチャしながら相手の手淫で一回射精して、相手とキスをしながら相手のオナサポをするだけのダラダラした二回戦になってしまった。

 そろそろ帰ろうかなと思い、相手にまたねと言ってキスをして個室を後にしてシャワーを浴びて発展場を後にした。滞在時間は三時間もないくらいだっただろうか。

 

 これがぼくの処女喪失の一部始終である。

 総評すると、男を相手にするのはまるで女の子になり切るようで結構面白いしアナルセックスはヘテロセックスと比べ物にならないくらいの快感を有する。しかしながら、ホモセックスもヘテロのそれと同様にうまい下手があり、相手が自分本位だと苦しくてあまり気持ちよくない。快楽本位に行きたいなら自分から動ける騎乗位が丸い。

 

それなりに楽しいハッテン場であったが、どれだけ求められてもぼくの心にこびりついた虚しさが消え、満たされることはなかった。どうやらこの虚無感は飼いならしていかなければならない類のものであるようだ……

 

ということで、おわり(樋口円香)

次回のろしゅの奇行にご期待ください。